バン!!!と鈍い音と共にざわつく声が試合してるコート聞こえた。ステージの上に座っていた直元と優はその音に気づいて振り向く。優はハッと目を見開く。夕日と茶髪混じりのツインテールが揺らりと床に落下していく。陽依は横たわっていた。ボールが当たってその反動で落ちたのだ。

「陽依!!!!」

バッとステージから飛び降りた優はガヤガヤとする人だかりをよぎって横たわった陽依の前に跪く。ユサユサと肩を軽く揺らしても何も反応がない。焦りに優は彼女の頬に手を滑らせて自分の方に向かせる。ボールからの痛みと反動だろうか、気を失っていた。軽く当たった頭と頬に赤い痕が残っている。

「良かった………。」

保健室に連れて行こうと、思い立ち上がり。横たわる陽依を優しく抱き上げた。思ったよりも女の子体重にしては軽すぎた。ボストンバッグの中に二人分の着替えぐらいの重さで優はそれを気にしながらも抱きあげた陽依を抱えてひとだかりから無言で抜ける。

「ちょ、屋櫻君?!授業中よ!!」

「屋櫻君、夕影さん大した怪我じゃないんだからその辺に寝かしても大丈夫だよ!」

数人の女子が優にそういう。彼女が優に抱き上げられているが気に食わないのか眉を曇らせてキャピキャピした口調でそういう。目障りだ、そう優は思っていたが。彼女が陽依が居なかったら誰がお前らをわざわざ保健室まで連れて行くんだと心の中で呟く。

「おーい、女子達ちょっと勘違いしてないか??」

直元が突如声を上げた。いつもと変わらないトーンだが表情は笑ってる様な真剣は瞳だった。女子たちが直元に視線を向けてるその時直元は床に付いてた片手を優に見えるように向けると人差し指を体育館の入り口に向ける。行けと言ってるのだろう優はありがとうと口パクを見せてから体育館の入り口を抜けた。

* * * 

二階の保健室に着いたのは数分後の事だった。幸い保健室の教員が会議に出ていた為入った途端に優は陽依を清潔感溢れる白いベッドに寝かせた。ジャージのファスナーを全部下げて白い首元が見えた。優はテキパキと動き、小さな台所みたいな洗面所からヒヤッとした濡れたタオルを持って来た。

「冷たいからな。」

ピトッと軽く赤く腫れた頬に濡らしたタオルを付ける。ウッと唸る陽依だったけど、安らいだ顔になる。