「おっ、おっ、お母ちゃんっ!!!ーーーハァハァーーた、タカがっ! おばちゃんが…早よ帰って来てって!」 陽はそれを言うとまた走り出す。 医者を呼びに行くためだ。 息が上がって、喉が痛くなろうが、お腹が痛くなろうが、 知り合いのおじさんに声をかけられようが、幼なじみの驚いた声が響こうが、 もう、陽には関係なかった。 タカが!!ーーータカがっ!!! 陽は、いつの間にか、泣きながら走っていた。