大きな問題だ、と深いため息を吐く2人を前に、陽は振り返って言う。
「だいじょーぶ!!
うちは優しいお客さんいっぱい来てくれてはるんやから、うちが貧乏になる前に、助けてくれはるよ!
なっ!!おっちゃん!!」
相手は、たまたま来ていた長屋の管理人のおじさんだ。
管理人は苦笑しながら言った。
「お陽ぃちゃんは商売上手やなぁ、おっちやんも負けるわ〜」
そして、団子を1つ追加で、と言った。
「おおきに。ほな、持って来ますわ」
父も笑いながら奥へと行く。
この一件を皮切りに、「優しい」お客さん達は、いつもより多く、買い物をして帰ってくれたのだった。


