「ーーー豊。赤ちゃんの名前、考えた?」
私はポツリと気になっていたことを問うた。
赤ちゃんの名前を決めるのは、豊の係だね。って、出産前に決めていたから。
「んーー…恒河」
「こうが?」
「うん。恒河沙(こうがしゃ)っていう、数の単位があるんだ。
数多の運命から、俺たちのところに来てくれてありがとうって。
これから、数多の運命を選び取って、たくさんの幸運を受けて、生きて行って欲しいなって。
昨日、あの子を抱いた時に思いついた」
「それで昨日泣いたの?お母さん達の前で」
豊がえっ、と驚きの声を上げる。
どうやら、隠しておきたかったらしい。
そして数秒の後に、真っ赤な顔をして、頷いたのだった。


