小児病棟

「正面突破って……そんなことしたら看護婦さんに止められるんじゃねえの?」

正哉は、眉をしかめつつ、仁王立ちしている悟を見上げた。

「だから、看護婦さんがいない隙を見計らって突破すりゃいいんだよ!」

「いない隙?」

「そ、近くで張り込んで、看護婦さんが誰もいなくなるのを待つ。そして、いなくなった隙に出ればいいんだよ!」

悟は、ガッツポーズに力をこめた。

「なるほど、それなら行けそうだね」

その案を聞いた裕二は、そう言ってうなづいた。

「なんか、楽しそう」

慶一も、目を輝かせて言った。ワクワクする気持ちを抑えきれないといったふうである。

正哉は、そんなみんなの雰囲気を察知し、

「……なら、それでいいんじゃない?」

と、観念した。