小児病棟

「じゃあさ、野球するふりをして行けばいいんじゃない?」

すると、考え込んでいる悟に慶一が提案をした。

「でも、バットやグローブを持ったまま行くのか? 荷物になって辛いぜ?」

しかし、それを聞いた正哉はまたしても真っ先に否定する。

「それもそうかあ……」

正哉の言葉に一同納得。話は暗礁に乗り上げた。

みな、しばらく口を閉じ沈黙が流れる。そんな暗い雰囲気に業を煮やした悟は、やおら立ち上がった。

「あれこれ小細工するより、ここは正面突破だ!」