小児病棟

「おー! サンキュー!」

正哉は、すかさずチキンをほおばり

「うんめー!」

と感動した。そんなやりとりを見ながら、車椅子の男性たちは、にこにことほほ笑む。正哉は、そんな男性たちのほうをちらっと見て、少し疑問に思うことがあった。テーブルには椅子が一つもないし、病棟にいるのは、ほとんどが車椅子に乗っている人ばかり。いったい、この病棟はどんな病気の人が入院しているのだろう、ということだった。

「お兄さんは、どんな病気なの?」
正哉は、口にチキンをほおばりながら、横にいる男性に問いかけた。

「僕らはね、筋ジストロフィー症という病気なんだよ」

「筋ジストロフィー症?」

聞きなれない病名に、正哉は首をかしげる。

「まあ、知らないのも無理はないよな」

男性は、そう言って笑った。