二度あることは三度ある。ということにならないように祈った、三度目の正直。

やっと長かった転勤が終わり、十二月に東京に戻ってくることが出来た。


「次また延びたら会社辞めたろかー思ったわ。」

「ふふっ。おめでとう、よかったね。」

「せやな。こうして麻衣子とも頻繁に会えるようなったしな。」


白く滑らかな首筋に手をふれて、そっとキスをした。

東京に引っ越して初めて俺の家に来た麻衣子は緊張しているようだ。


遠恋だったせいもあるが、俺たちの交際はかなりスローペースだ。先日付き合って三ヶ月が経ったけれど、未だにキス止まり。二十六の俺は実はかなり我慢している。

大阪から東京に来たときは麻衣子の家に泊めてもらったけれど、軽いキスひとつで真っ赤に固まる彼女にはそれ以上手が出せなかった。

別にそういうことしたいから付き合うてんちゃうし、時間はいくらでもあんねんから焦らんでええか。


のんびりとした恋愛をしていた俺らが一線を越えたのは、二月の終わり、麻衣子の誕生日だった。