「決めたやろ。その一、敬語禁止。その二、先輩って呼ぶの禁止。」

「んー、でもまだ慣れなくて。」


なんと麻衣子は俺が初めての恋人だと言う。最初が俺でいいのかと気後れしてしまうが、いいと言ってくれた彼女を最大限大事にしようとひっそり誓った。

そんな訳で、麻衣子はとてもウブで純粋だ。


「まあそれはおいおいでええけど、まずお知らせやねん。」

「いいお知らせ?」

「よくない。最悪や。」

「え……。」


よく話すようになって気付いたのは、麻衣子は意外と声に感情が表れやすい。

些細なことにいちいち喜んだり驚いたりしてくれるから、こっちも飽きない。いつでも新鮮な反応を見せてくれるところが可愛くて仕方ない。

俺が麻衣子との付き合いを長く続けられているのは、ひとえにその純粋さのおかげだ。