「明日朝早いから寝るわ。風呂冷めないうちに入りや。おやすみ。」

「うん、おやすみ。」


最近拓馬は先に寝てしまう。本当に仕事が大変なのかもしれないけれど、前は忙しい時でももう少し私に時間を割いてくれていたように思う。

もう二ヶ月以上拓馬のベッドで寝ていない。

朝が早いと言って先に寝てしまうのに寝不足気味の様子に違和感を感じながらも何も言えないのは、そのことに向き合うのが怖いから。

だって、「慣れ」は「飽き」に簡単に繋がってしまう。「慣れ」ならいい。でも、もしも「飽き」だったら。

飽きられないために今まで私はなんにもしてこなかった。いつだって受け身でいただけだった。

私から言ってみればいいのかもしれないけれど、初めての誘いを「飽き」を理由に断られたら、私はもうだめになってしまう。きっと二人の間も。