「……先輩はすごく大人なのに、せっかく誘ってくれたのに、こんなんでごめんなさい。」


無理させてしまったのは体調だけではなかったようだ。履き慣れない靴も、結局は全て俺のちっぽけな見栄のせいだ。


「麻衣子ちゃんがさらけ出してくれたから俺も白状するわ。なあ、こっち見て。」


地面に腰を落とし胡座をかいて、顔を覆う左手首をそっと退ける。涙で化粧が崩れた顔が、ありのままを見せてくれた彼女が、今までで一番可愛い。


「俺ほんまは全然大人とちゃうねん。」


麻衣子はきょとんとした表情で右手も顔から外した。