私はこんな恋が出来るなんて思ってもみなかった。幸せ過ぎて現実なのかすらもわからなくなってしまう、恋。
この恋が始まったのはいつだっただろうか…

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「みい!起きて!!
もぅ。十分寝たでしょ?」
目の前にいるのは親友の咲だ。
私は咲と彼女の部屋でしゃべっていたのだがいつの間にか寝てしまったらしい。
「むにぁ…。あれ、寝ちゃってた…?」
「馬鹿、寝てたよ。しかも熟睡ね。」
「ご、ごめん!!」
「いいよいいよ。あ、でもね。
熟睡してる間に日ぃ暮れちゃってるから、気を付けて帰りなよ?」
さっきまではカーテンから光が漏れでていたのに、もう真っ暗だ。
「ありがと!おじゃましました!!」
私は咲の家を足早に立ち去った。私の家から咲の家までは電車で5駅分だ。急がなければ終電が行ってしまい家に帰れなくなる。
いつもは通り慣れている道だが、暗いと別の街に来ているようで少し不気味だ。
「あれ…?ここ…どこ?」
急いで走っていたせいで道を一本間違えたのかもしれない。
「真っ暗なのに帰れないかも…どうしよ。」
さっき起きたばかりなので頭がまわらない。さらに、眠気がまた襲ってきた。
「や…ばいかも…。」
眠気はじわじわと襲ってくるが、走る足を止める訳にはいかない。
ドンッ
「いっ…」
「きゃっ」
寝ぼけて走っていたせいで、ぶつかってしまった。しかも、知らない人に。
「ご…ごめんなさいっ!!」
急いで立ち上がろうとするが…。
「いっ…たぁ…っ」
足をくじいてしまったのだろうか、右足が痛くて立ち上がれない。
「大丈夫か。」
どうやらぶつかったのは男の人だったらしい。
「えっ…あっあのっ…ごめんなさい、私、足をひねってしまったみたいで…。」
「え、マジか。大丈夫?
俺んち近いけど休んでく?」
休めるのは嬉しいが、初対面の男の人の家行くのは勇気がいるというかなんというか。
「わっ悪いですよ!!そんな、迷惑かけられません!!」
「いいって。おぶってく。」
「わ…私重いんですよそんn…」
まだ喋っている途中なのに、彼は私のことをヒョイっとおんぶした。
「すぐ着くから。走るぜ?」
「はぃっ」
大きな彼の背中に揺られているうちに私は眠ってしまった。