ことり公園。

 それから鈴原は、テスト前日までずっと、弁当を作って来てくれた。


 純粋な気遣いなのか、俺の言いたいことが気になるからなのか、鈴原の考えていることはわからなかったけれど、俺はいつも通り、必死に勉強に打ち込んだ。


 それで今日は、テスト当日だ。


 駅でぼうっと電車を待ちながら、俺は少し、心に不安を抱いていた。


 結果なんて、予想もつかない。


 俺は高校初めてのテストだったといえど、前回だって、いつも通り全力だった。


 それなのに……。


 初めて覚える悔しさに、俺は下唇を噛み締めた。


 知らなかった。


 自分の中に、こんな気持ちがあったなんて。


 本当は、……なんだかんだ言ったって、1位の所に自分の名前が並んでいるのが嬉しかったんだ。


 俺は、この間見た、絵鳩こうたの姿を頭に思い浮かべていた。

 
 あいつは、……あいつだって、必死だった。


 休み時間だって言うのに、必死にノートにペンを走らせていた。


 ……でも。


 でも、今回は、負けるわけにはいかないんだ。


 わかってる、鈴原の気持ちは、向こうに向いてるってこと。


 ……だけど俺は、ひとつでもあいつに勝って、それから、少しでも、鈴原に見て欲しい。


 馬鹿みたいだけど、負けたままじゃ、悔しいから。


 そこでよし、と気合を入れ直したところで、


「……小鳥遊くん、おはよう。」


 いつものように微笑みながら、鈴原が現れた。


 アナウンスが鳴って、いつもの時間の電車がホームに辿り着く。


 結果が見えたとき、……もう、こんなふうに一緒にいる事は出来ないかもしれない。


 だけど俺は、……それでも、このまま平行線では居られないと、彼女を求めてしまった。