ことり公園。

 電車に乗り込むと、人の波にグイグイと背中を押され、乗った方とは反対の扉の方へと一気に流される。


 鈴原が鉄の手すりに掴まって、俺はその後ろから鈴原を囲うようにして、扉に手をついた。


「……ごめんね、辛くない?」

「……平気。」


 電車が揺れる度に、他の人と肩がぶつかった。


 いつも降りる駅のひとつ前の駅に停車して、車内が少し空いたところでふう、と一息ついていると、俺に背中を向けていた鈴原が振り返った。


「あの、……昨日言いそびれて、持ってくるか迷ったんだけど……。」


 俺が首を傾げると、鈴原は手に持っていた紙袋を少し持ち上げて、続けた。


「お弁当、……作ってきたの。昨日、唐揚げ弁当食べてるの見て、体調、……崩さないようにって。」


 俺が驚いてポカンとしていると、鈴原は俯いた。


「ごめんね、……やっぱり、いらない、よね。」


 俺は慌てて鈴原の下がっていった手首を掴んで、片手で照れた顔を隠した。


 ……嬉しくて、泣きそうなくらいだった。


「……貰うよ。……ありがとう。」

「……うん。勉強、頑張ってね。」

「……うん。」


 鈴原からの頑張れ、は、嬉しいようで、すこし悲しい気もした。


 本当は、絵鳩こうたのこと、……。