ことり公園。

 鈴原はそのままブランコの方へと行くと、すとんと腰かけた。


 俺が傍へと寄ると、彼女は微笑んだ。


「ここね、よくこうちゃんと遊んでたの。わたしが男の子にいじめられてたりしたら、すぐに助けてくれて……。」


 眩しいくらいの西日に照らされた彼女の顔は、どこか寂しげな表情にも見えた。


「そんな、やさしい人だったから、……ごめんねって言ったら、……許してもらえると思ってた。」


 鈴原は足元の石ころを蹴ると、ブランコを軽く揺らした。


 鉄の擦れるキイ、という音が、静かな公園に響きわたる。


 何があったのかは俺にはわからないけれど、鈴原をこんなふうに悲しませているのは、他でもない、絵鳩こうただ。


 俺の中に、じりじりと嫌な感情が芽生え始めて、気づいた時には、口から飛び出してしまっていた。


「もし、次のテストで、1位とったら、……。」


 彼女は突然大きな声を出した俺に、きょとんと不思議そうな顔をしている。


 ここまで出て行ってしまったら、もう言うしかない。


「そしたら、……鈴原に、聞いて欲しいことがある。」


 テストで絵鳩こうたに勝ったって、鈴原の思いは、何一つ変わらない。


 なのに、俺は、一体何を考えていたのだろう。


「……はい。」


 鈴原のすこし驚いたような顔が、目に焼き付いて離れなかった。