ことり公園。

***


 家の中に鈴原を先に促すと、鈴原は少し躊躇いがちに部屋に入った。


 その背中には、雨に濡れたせいで、薄い青のシャツからくっきりと白い下着のラインが透けていた。


 俺はそこから目を逸らし、冷たく言い放つ。


「服、脱いで。」

「えっ!?」


 鈴原は何故か顔を真っ赤にして振り返った。


「そこ、脱衣所で。服は俺の貸すから。……透けてる。」

「あっ。」


 そこでやっと気がついたのか、鈴原は両手で胸元を隠し、恥ずかしそうに俯いて小さくつぶやいた。


「……小鳥遊くんのえっち。」

「不可抗力だよ。……鈴原だって、さっき顔真っ赤にして何考えてたの。」

「う……。」


 俺がわざとくす、と笑うと、鈴原は少し悔しそうにこちらを睨みつけた。


 先に廊下を進み、タオルを取りに洗面所のタンスを漁っていると、玄関にぽつんと立っていた鈴原が言った。


「あっ、これ、小鳥遊くんのお母さん?」


 ここからは姿が見えないが、おそらく鈴原が言っているのは、玄関に飾ってある古い写真のことだろう。


 女の人が美しい海をバックに、穏やかに笑ってひとりで写っている。


「うん、そう。新婚旅行らしいよ。」

「へえ、……綺麗。やっぱり少し、小鳥遊くんに似てるかも。」

「そう?……俺は、写真でしか知らないから、イマイチピンと来ないけどな。」


 タオルを手に、もう一度玄関に戻りながら言うと、意味を察した鈴原が、バツが悪そうにあ、と小さく声を漏らした。