ことり公園。

 ショッピングモールを出ると、辺りは随分と暗い色に包まれていた。


 来た時には晴れていた天気が、空は灰色の雲に覆われ、すっかり怪しくなってきていたのだった。


「あ、わたし洗濯物干しっぱなし……。」


 隣で俺と同じように空を見上げた鈴原がぽつんとつぶやく。


「……帰る?」


 少しの名残惜しさを胸に抱えながらも言うと、鈴原は少し目を伏せて、小さく頷いた。


 当たり前のように華奢な手を握って、俺たちは歩き出す。


 その足取りは、気がのらないのか、かなり重たかった。


 時刻は午後4時頃。


 ……まだ、帰りたくない。


 俺の中に、そんな気持ちがあったからだろう。


 鈴原の手を握る手に力を込めると、鈴原もそれに応えた。


 ……時々、自惚れてしまいそうになる。


 こうして、鈴原の手を何度も握ったけれど、鈴原は振り払わないし、キャンプ合宿の時だって、俺に好きな人がいると言った時の鈴原は、悲しそうな表情を見せた。


 もしかしたら、と、何処かで考えてしまう。


 今日だって、ただ映画が見たかっただけかもしれないけれど……。


 だけど。


 振り返って、鈴原を見ると、彼女の黒目がちな瞳と目が合った。


 鈴原は、何処か少し寂しそうに微笑む。


 その時だった。


 ポツ、と小さな一滴を合図に、本格的に雨が降り出してきた。


 雨はだんだんと強さを増して、地面の色は水玉模様に埋め尽くされて、一瞬で変わってしまった。


 俺たちは慌てて屋根のあるところを探すが、運悪くそれは見つからない。


 ずっと避けていたけれど、俺は仕方ないと思いながら、鈴原に言った。


「……もうすぐそこ、俺の家だけど、……くる?……傘貸すよ。」

「……うん。」


 鈴原は少し目を泳がせたあと、こくんと頷いた。