少しドキリとさせられて、俺はすぐに目を逸らして、ショッピングモールの方へと歩き出した。


 後ろから、鈴原が慌ててついてくる。


「……結構待ってた?」

「別に。俺もさっき来たから。」

「……そっか。」


 先々進んでいると、突然後ろで鈴原がなにかに躓いてバランスを崩し、俺の肩につかまり、軽く背中にぶつかってきた。


「ご、ごごめん!」


 振り向くと、バツが悪そうに俯く鈴原の姿と同時に、歩きにくそうなヒールの靴が目に入る。


「……ん。」


 仕方なくといった形で手を差し出すと、鈴原はおずおずとしながら俺の表情を一瞥する。


 少し微笑んで見せると、彼女ははにかみながらその手につかまった。


「鈴原ってなんか、危なっかしいから。」


 彼女の手を引きながら、また歩き出す。


「そんなこと、……ない、と思う。」


 自信のなさげな返事に、俺はくすくすと笑った。