ことり公園。

 その日の放課後。


 俺と鈴原以外、誰も居なくなった教室では、紙の擦れる音と、パチン、といったホッチキスの音だけが響いていて、それはやけに大きく感じる。


 おそらくそれは沈黙のせいでもあるだろう。


 もともと口数が多い方ではないし、今は作業もしているのでそこまでは別に気にならない。


 ……気がかりなのは、窓から射し込んでくるうざったいくらいの西日と、机をくっつけて向かい側に座る、鈴原がチラチラと俺を見てくる視線だった。


 その分作業のスピードも、俺よりはるかに遅い。


「あのさ、……俺の顔、なんかついてる?」


 いい加減しびれを切らして鈴原に問うと、鈴原は大きく肩を揺らし、バツが悪そうに俺から視線を逸らした。


「……ううん、なんにもついてないよ。」

「……そう。」


 やっぱり朝から何かおかしい。


 委員の仕事がなきゃとくに関わることもなかったので、いつからか確実には特定し難いが、俺が思うにやっぱり鶴田が鈴原に変なことを吹き込んだのだろう。


 俺が作業を再開すると、鈴原は先程より数を減らして、またチラチラと俺に視線を送ってきた。


 大きなため息をつくと、鈴原は慌てて作業スピードを速めていた。