ことり公園。

 このまま帰るにも、体操服は明日また使用するので、洗濯しないままもう一度着るのは御免だ。


 でも、この会話も聞かない方がいいだろうし、出来れば聞きたくない。


 ……暫くどこかで時間を潰して、また来るか。


 そう、踵を返したその瞬間、最後に聞こえたのは、鶴田の陽気な笑い声と、


「あいつ、いっつも冷たいし気のせいだと思うよ?あたしもあんまりまともに話したことないし。

 ……あっ、そうだ、いい事教えてあげる。」


 ……そんな、嫌な予感しかしない言葉だった。


 あれは確か、鶴田と2年連続同じクラスになった、中学2年生の時の事だった。


 クラス替えをしてすぐ、俺は突然、顔はなんとなく覚えているけれど、名前がわからない女子に告白された。


 しかし、当然そんな相手といい加減な気持ちで付き合うなんてこと、出来る訳もなく適当にフッた。


 そしてその場で泣き出した女子を、泣かした俺が慰める訳にもいかず、俺は申し訳なく思いながらも、そこから立ち去った。


 事件が起きたのは、その後だ。


 俺が適当にフッた相手は、鶴田と仲が良かったらしく、鶴田はその慰めのつもりで言ったのかもしれないけれど、俺は気がついた時には、


 ホモもいう設定になっていた。


 ……確かに、好きな人も出来たことはなく、何度か受けた告白も、未練が残らないように全て冷たい態度でこっぴどく断っていた。


 その時たまたま、たかひろと同じクラスになって、あいつが俺にベタベタしてきていたことも理由の1つにあったのかもしれない。


 好きな人なんか居なかったからよかったものの、やっぱり周りに変な目で見られることにいい気はしない。


 その事があったから、鶴田のあの台詞は嫌な予感しかしなかったのだ。