ことり公園。

 それから5月になると、キャンプ合宿の日が近づいて、暫く仕事のなかった行事委員も動かなくてはならなくなった。


 そんな中俺は男ギライを意識して、各自で勝手にやっていれば、なんとかなるだろう、と鈴原にはなるべく関わらないようにすることにした。


 今日、初めての委員会が終わると、鈴原は先生に頼まれたのか、必死で跳ねながら、黒板の高い位置に書かれた文字を消そうとしていた。


 この教室には、何故か黒板の下に台がなく、その手はどうも届きそうにない。


 なるべく関わらないようにするとは言っても、あれを放っておくのは可哀想だ。


 ……嫌な顔されても、仕方ないか。


 俺はもう1つ置いてあった黒板消しを手にとって、鈴原が必死で消そうと手を伸ばしていた場所を擦り、早々と背中を向けて教室を出た。


「あ、あの、ありが、……」


 そんな小さな呟きが聞こえた気がしたけれど、俺は振り向くことさえもせず、無視をした。


 ……少し、冷たく映っただろうか。


 教室を出てから後悔しても、それはもう遅かった。