記憶や可能性は現実よりも恐ろしいものだ。

著 ハワード・フィリップス・ラヴクラフト

テケリ・リテケリ・テケリ…テケリ・リテケリ・テケリ…
奇妙な雑音が聞こえる…いや聴こえる…。
なんだ?私は今、とても良い夢を見ているのだが?
体に何か湿ったような物が這いずり回る様な感触を感じる…。
テケリ・リテケリ・テケリ…テケリ・リテケリ・テケリ…
雑音はより大きくなっている…何なのだ一体…?
私はそっと瞼を開け…?
!!??
私は一気に現実、いや、これは現実なのか?何でもいい、この黒いスライムの様な化け物は何なのだ一体!?
こいつは、テケリ・リテケリ・テケリ、と目を冷ました私を見て(そもそも視認しているのか?目のような視覚器官は見たところ存在してない)喜んだかのように体を揺らす。なんだ…異様な見た目だが、中々可愛らしい一面があるではないか…と、この現実に対して冷静になった瞬間…!?
急に足の感覚が無くなった…、どうしたのだ?私は足を、いや、ドロドロに溶けた足らしき物がある場所に目を向けた。私は叫ぶ、細かく震えるスライム?今、直感した。こいつは目を冷ました私を見て喜んだのではなく、捕らえて溶かしている獲物が反応し出したので、悦んだのだ。
私はこいつから抜け出そうともがく、次の瞬間、スライムが一気に膨張した。膨張したことにも驚きだが、私はその後ろの人?いや…こんな存在、私は知らない。何故ならば、タコのような軟体動物の顔、背中から生えて蠢く触手、人形の体に鋭い鉤爪の存在に畏れを抱いた…。こいつらは、我々人間が出会ってはいけない存在だ…人の溶けていく様を見て心なしか悦んでいるこの怪物ども…いけない…他の人類よ、生命よここに来ては行けない、ここは化物の住みかだ…私は黒いスライムの体に呑み込まれ、ここで意識を手放した。来ては行けない来ては行けないキテハイケナイ…ナゼオレダケガコンナメニ…オカシイナァ…