ブラウニーと唐辛子

そして、私にオレンジジュースを渡したかと思うと
“ザバーーーーーーッ”
……鮮やかな手捌きでポケットから七味唐辛子を出し、私のオレンジジュースに入れた。
「いじめ?」
「美味しいぞ?」
真顔で唐辛子入りオレンジジュースを勧めてくるウエイターなど初めて見た。
正気ではない。
「吉野君、飲んだら?」
「いいのか?」
目の前に座ると、吉野はオレンジジュースを受け取る。
そして、飲んだ。
全て綺麗に飲み干す姿はまさに狂人だ。
「なんということ……」
私は驚いた。