「…奥に何かいる」
アレンの言葉に、三人は前方を睨む。
確かに奥から何かの気配がした。
「どうする?魔物かもしんねーぞぉ?」
「でも、レイのお兄ちゃんかもしれないわよッ」
「…行きましょ」
四人は少しスピードを上げて進んで行った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
広い空洞。
階段で登れる高い台座の上には怪しげな像が立っている。
遺跡の一番奥だ。
「なんかいる?」
イルがキョロキョロ辺りを見回しながら聞く。
「おっかしぃなぁー。確かに気配はしたんだけどなぁ。」
頭を掻きながら、まいったとばかりにギルクが呟いた。
「お兄ちゃん、じゃないのかしら…」
レイもしゅんとして俯いてしまう。
「……………。」
みんなが黙り込んでしまった。
「…ごめんね、付き合わせて。もう、帰りましょ」
不意にレイが言った。
諦めたような口調に、イルが彼女をおずおずと見上げる。
「え…でも…」
「もう、いいの。勝手にいなくなったお兄ちゃんを、ずっと探すこともないわ…。お母さんとお父さんにも、わかってもらえると思うの」
悲しげに微笑んだレイを見て、ギルクとイルは胸が締め付けられるような思いになった。
――――また沈黙。
「…諦めんの?」
急に、黙っていたアレンがレイを見ずに訊ねた。
「…………。」
レイは俯いたまま黙っている。
「ほんとに、いいのか?もしこのまま諦めて、会えなかったりしたらどうすんだ?」
「…いいの。もしかしたら、死んじゃってるかもしれないし…。生きてるかもわからないのに、こんなに一生懸命探して、もう馬鹿みたい…」
レイは再び黙り込んだ。
「…自分の兄ちゃんなんだろ?本当に死んでたらもう一生会えないんだぞ?」
その言葉にレイはキッとアレンを見上げた。
「いいの!私が決めたの!もう、ほっといて…」
そこでハッとして口を抑える。
慌てて謝罪をしようとした。
「ごめんなさ…」
「あっそ…。じゃあそうすれば」


