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とりあえず屋根に登ったアレン達は驚いていた。
屋根のあちこちに、ばらまいてあるモノ。
……イルの、お菓子だ。
きっとレイがとっさに掴んで、何かに役立てようとしたのだ。
「あたしの、お菓子…。食べられなく、なっちゃって…。」
イルは悲しそうに言った後、首を振る。
「レイが道しるべを残してくれたんだわッ!!行こ、2人とも!!」
気合いを入れたイルは軽い足取りで屋根の上を走っていく。
その姿は元忍者なだけあって様になっていた。
「…………。」
アレンはぶすっとしたままそれについて行く。
瞬速とも呼べる速さで、屋根の上を渡っていった。
アレンもイルも物音一つたてない。
慣れないギルクは一生懸命2人について行った。
やがて三人は、一つの何の変哲もない民家についた。
イルは身をかがめ、耳をそばだてる。
「…男と、レイの声がする。」
「そっか、ここなんだな。」
ギルクがキッと真剣な顔つきになった。
一方、アレンはそれどころじゃなかった。
やばい。
速く走りすぎた…。
頭痛が…吐き気が………。
一人頭の中で嘆くアレン。
と、そのとき中から悲鳴が聞こえた。


