◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
レイは不機嫌だった。
訳のわからないまま攫われて、びゅんびゅん屋根の上を飛ばれて。
しかも……
「俺様、お前みたいな美人を探してたんだ!!」
自分を攫ったこの怪盗は、そう言って結婚しろなどと言い出した。
「怪盗ダサイさんでしたっけ、嫌です。受け入れません。」
レイは『ダサイ』をやたらと強調して冷たく言い放った。
「ダサイじゃない、ダリガンだ!!」
「ダラシナイ?そうですね、貴方、怪盗なんかして格好つけて、本当にダサくてだらしないですもの。」
「そんなこと言わないでくれよ、レイちゃん。俺様、結構怪盗気に入ってるのに」
ダサイではなく、ダラシナイ、でもないダリガンはそう呟く。
「怪盗の職を気に入ってるなんて、落ちぶれた証拠ですね。」
ダリガンの言葉にレイは冷たい笑みで言った。
すると……
「…怪我しないですんだだけでもありがたく思えよ」
ダリガンの口調が急に変わった。
レイはダリガンのアジトらしき民家の柱に縛り付けられている。
あまり挑発するのはよくないかしら、とレイはそこでやめておいた。
(この男が一瞬でもいなくなったら、精霊を呼んで抜け出せるのに。)
レイはイライラした。
でも。
(アレン達が、来てくれるはず。)
屋根に、とっさに取ったアレを、ばらまいてきたから…。
そう思ったレイだが、内心不安で仕方がなかった。
このままだと何をされるかわからない。
もう攫われて4時間が経とうとしていた。
レイは不安を取り払うかのように首を振り、顔をあげる。
(大丈夫、私はみんなを信じるから…。)


