「ちょっとくらい、いいよな…?確認、だし」
ギルクはそう言って2人の同意を得てから、アレンの鞄の中を覗き込んだ。
本人の許可なしなので、ひっくり返すのはやめとくらしい。
「水筒、着替え、タオル、金、…これは剣の手入れするやつかな。」
鞄を漁りながらぶつぶつ呟くギルク。
「ん?」
ふと、動いていた手が止まった。
「どしたのぉ?」
イルが横から鞄の中身を覗こうとする。
「こいつ、何か女もんのネックレス持ってる」
ギルクはそれを取り出し、2人に見せた。
銀色のくさりに、ハートの形の小さな赤い石がついているネックレス。
明らかに、女物だ。
「きゃーっ、街に残してきた彼女のとか!?」
イルがきゃぁきゃぁ騒ぎ出した。
その横でレイはぷぅ~っと膨れてしまう。
彼女はそれを隠す為に窓際へ行った。
するとちょうど、時計が0時を知らせるオルゴールを鳴らした。
~♪~♪♪~♪~
ヒュッと、レイの横を風が通り過ぎる。
部屋が真っ暗になった。
「何っ!?」
ギルクの慌てた声が聞こえる。
みんなに声をかけようとした瞬間、何かに抱えあげられた。
「きゃっ!?」
レイを抱えた人影。
暗闇のせいで顔が見えない。
「レイ!?」
レイの小さな悲鳴を聞いて、イルが不安そうに声をかけた。
「た、たすけ……」
助けて、と言おうとしたときには、もう遅かった。
人影はものすごい速さで、屋根の上に登る。


