「オレ様さ、武道家なりたいんだ!!母ちゃんとかは、海賊になれとか言うんだけどさ、オレ様、そんなガラじゃねえの。」


…別に、そうでもないけど…?


と思ったが黙っといたイル。


「お前、かわすのとか上手いし強いんだろ?教えてくれよ、あと、ついでに結婚して!!」


「…はい?」


(さっきから訳わかんないこと言いまくって…、話、ついていけないんですけどッ)


イルはピクピクするこめかみを人差し指で押さえながら、ギルクを見た。



(なんであたしがついでだけどプロポーズされてんのに平気な顔してんのよッ!!)


ギルクは口を開けたまま黙っていた。


「あのね、この杖見てわかんない?あたし、魔法使いなの。武道家じゃないのッ。武道家はこっちの人!!」

と、ギルクを指差す。

ギルクはいきなり指差されて一瞬ビクッとした。


「それにね、あたし、将来結婚する人決まってるの!!それに、あんたみたいなガキお断り!!」


「えっ…ひど…ガキって…。てか、誰だよそいつ!!婚約者か!?」

タイチは軽くショックを受けたらしい。


「そ。かっこよくて、素敵で、強くて…」

イルの言葉にギルクが嬉しそうな顔をした。


「で、熱血で、うるさくて、頭悪くて…」

今度は顔をしかめたギルク。


「イル…なんだよ、そ…」

「でも、大好きな、頼りになる人。」

イルはギルクの言葉を無視してそう言うと、にこっと笑った。