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「プール入りたかったよぉ…」

イルは不機嫌そうにベッドの上でゴロゴロ転がる。

「仕方ないだろ、まだ準備中らしいし」

アレンはビシッと言い放つ。

「俺も入りたかった…」

ギルクは情けない声を出した。


「ま、無理な話だ。明日には出るからな」

………………………。

「えぇええぇぇえ?!」

しばらくして二人は同時に絶叫した。

「…何だよその時間差リアクション…。てか打ち合わせでもしたわけ?」

アレンは耳を塞ぎながら冷静に突っ込んだ。

「だって…だってッ!何で明日?!明後日でも…」

イルがアレンにすがり付いた。

「さっき電話があったんだよ!トウキシティの街長から!!」

「うぇえ!?」

ギルクがすっとんきょうな声を出す。

「それをこのホテルの従業員がとって、なんか赤い髪の男とオレンジな髪の女の子がいないかって聞かれたらしくてな、ちょうどそこにいた俺に渡してくれたんだ。」

ギルクとイルが顔を見合わせる。



「…お前ら、おつかいに出てもう三ヶ月らしいな。普通トウキシティからモスフィックタウンへは5日もあればつくんだけど…」

アレンは二人をちらっと見る。

「…街長はご立腹だ。」

それを聞いてギルクとイルは青ざめる。

「たたたた大変だ!!すぐに行こう、イル!!」

「そそそそうねッ!!やばいわッ!!」

「だから明日っつってんだろ」

二人はアレンをキッと睨んだ。

「今すぐ!!」

「明日」

「何で!!」

「もう夜だから」

「関係ねぇ!!」

「黙れ」

「今すぐいっ………」

鋭い剣先がキラリと目の前にある。

「出発は明日だ。いいな?」

二人は黙ってコクコク頷いた。