ふかふかの布団、ふかふかの枕。




ベッドの上で、アレンは目を覚ました。



「……ん…?」


白い天井が見える。

前髪が目にかかっていた。

それを払いのけ、眩しさに腕で目を覆う。



「アレン」


横から声がして顔をそちらに向けると、レイがアレンを見下ろしていた。


「…レイ?俺…」


少し考え、自分が意識を失ったのを思い出した。

同時にさっきの出来事も。



「ギルク!」

飛び上がるアレン。

そこで動きにくいことに気が付いた。



「…え?あれ…」

自分の右腕と、右肩から背中にかけて包帯が巻いてある。


レイの足にも同じものがあった。



「ヴァンヌさんが治癒魔法で治してくれたんだけど、怪我が酷すぎて。傷は治ったけど痛みはまだ少し残るって言ってたわ」

「ヴァンヌさん?ここって…」

「あの宿よ。あと、ギルクは大丈夫だから」

そう言ったレイはアレンがほっとため息をつくのを眺めた。



「…ありがとう、アレン」


「…え?」

急にお礼を言われて少し戸惑う。

「助けてもらったお礼、まだ言ってなかったでしょ?」


可愛く笑うレイを見て、アレンは誰にもわからないくらい微かに頬を染める。

(…そういえば俺、お姫様抱っこしたような…。)



前だったら平気だったのに、今はかなり恥ずかしい。



(うわあぁ俺やっぱり病気だ!心臓やべぇ)



鈍すぎるアレンはそんなことを考えて思わずレイを見つめていた。