「魔王はウィスカが位を降りて43代目がその地位に就いた瞬間、油断していた43代目を抹殺して自分が王になった。

生き残った城の兵士は、ボロボロになりながらもウィスカに助けを求めた。」


思い出したようにフッと悲しそうに笑ったルティを、みんなが見つめる。


「あいつは優しいから。

……どうしても放っておけなかった。

それで、荷物だけナティアに預けて一目大切な家族を見て、『すぐに帰るから』って言葉だけ伝えて城に戻った。」



だんだんルティの顔から笑みが消え、涙が目に溜まる。

すでに泣いていたルティの仲間が驚いた顔をした。



「そこで、あいつは兵士を人質にとられて…………、


………殺された」




最後は消え入りそうな小さな声で、微かに言った。