「……誰から聞いたんですか」

アレンの代わりにレイが聞く。

「ナティア、アレンの母さんだな」


やっと離れた男は仲間に怒鳴られていた。

「全く、ルティったら。まずは考えなさいよ!」

威勢のいい茶髪の巻き毛の女の人がバシッと頭を叩く。

「まぁそれがルティだしな」

ツンツン頭の紫の髪の男は背中を叩いた。




「…ルティて…もしかして…」

イルがその様子を睨むように見ながら呟いた。

「ん?知ってるのか、イル?」

ギルクが不思議そうに言う。


「たぶんだけど。

…最強の海賊『オルディナ海賊団』のキャプテンで、海賊の王って呼ばれる人よ」


その言葉にギルクとレイは目を丸くした。


(あれが!?あのバシバシ叩かれてるまぬけっぽいあれが!?海賊の王!?)


「お~、俺を知ってるのか!」

二人の頭のなかでどんな風に言われているかを全く知らない海賊の王は、にこやかに笑って三人に話しかけた。


「何でそんな凄い人がこんなところに…」

我に返ったレイが言う。

「いや~村にいる友人に会いにね。はっはっは。」

何故か上機嫌らしいルティはアレンの方を向いた。


「どうしたアレン、固まって。」


アレンはルティを見たままずっと硬直していた。