すると、母の姿の何かは俯いてボソッと呟いた。
『…これが無理なら…』
「…?!」
目の前の何かが紫の塊になって、形を形成する。
それができて襲いかかってくる瞬間、アレンは咄嗟に剣を抜いて対応した。
「…は?!」
目の前に現れたのは。
灰色か黒色かわからない曖昧な髪の色をした碧の瞳の少年。
アレンだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「《氷の精よ、降臨せよ!》」
レイは精霊を呼び出す。
そしてすぐに攻撃を放った。
「こんなんじゃ駄目駄目!」
ビーンはひらっとそれをかわすとまたレイから遠ざかる。
(もぉっイライラする!)
アレンを救い出すには、あれを作り出したビーンを倒すしかない。
なのに………。
「さっきから全然当たってないけどぉ?」
へらへら笑い、ビーンはレイをからかった。
イライラしていたレイはムッとする。
「…そうね。どうしようかしら。」
早くしないと、もしかしたらアレンが危ないかもしれない。
「…どうしようかしら。」
もう一度同じことを呟く。
「…もうこっちから行かせてもらうわよぉ♪」
そう言ったビーンは右手を上げて手に何かを持つ。
紫の剣だった。
「…剣?」
「そう。剣士の真似~♪」
軽く笑ってビーンは走り出した。
「ひゃっ…」
慌てて避ける。
(何これ!強い!?)
「ふふ~ん、凄いでしょ♪」
「…そうね。もういいわ。」


