「…大切なことって?」
少しムッとして話を戻した。
『…アレンは仲間の三人と旅をしているわよね』
母はにっこりと笑い続けながら話を始めた。
「うん」
素直に頷くアレン。
そのアレンを真っ直ぐ見つめて、
『…魔王との闘いにあの子達を巻き込むの?』
母はそう言った。
「え…?」
意味がわからないといった様子できょとんとするアレン。
『あの子達は予言とは関係ないでしょう?あなたがそれに気付いて三人から離れるって思ってたんだけど』
「……………。」
俯いて考え込むアレン。
『…もしあの子達が死んだりしたらどうするの?』
アレンの耳元で、母は呟いた。
「…嫌だ。仲間なのに…」
辛そうに口を開く。
『そう。なら、離れるしかないわ。』
アレンは顔を上げて母を見つめた。
微笑んでいたのが真剣な顔になっていた。
目が合う。
「…そんなこと言って俺にどうしてほしいんだ?」
『え?』
「それくらい、わかってる。俺だって馬鹿じゃない…。あの三人は大切だ。無くしたくない。もう考えてあるよ」
母は一瞬戸惑いの表情を浮かべた。
「…お前、誰だ」
アレンは母の姿をした何かを睨んだ。


