真っ暗な空間。
自分以外、何もない。
「………何だコレ…」
球体に飲み込まれて、一瞬息ができなくなって目を瞑ったら。
何もないところにきた。
「球体の中?」
大きさ、明らかに違うけど。
とりあえずアレンは出口を探し、歩き始めた。
「…ない」
どの方角に歩いても、どこにもつかない。
ただ、真っ暗闇の中にいるだけ。
「…レイ?」
試しに呼んでみたが、やっぱり返事はない。
アレンはふぅとため息をついた。
(魔法か何かかな。厄介だし…めんどくさい)
外でレイが死ぬほど心配してるのも知らないで、めんどくさがりな性格を発揮させるアレン。
しばらく突っ立っていると、不意に後ろから光が差し込んできた。
「?」
振り返ってそれを確認しようとする。
「…え?母さん?」
そこにいたのは、母だった。
「何で?一度だけだったんじゃ…」
言いかけてアレンはハッと何かに衝撃を受けた。
「ここ、天国か!」
『違うわよ、アレン』
母がしゃべった。
アレンは目の前にいる女性を見つめた。
「…じゃあ何で…」
『教えに来たの』
「何を?」
『大切なことよ』
そう言い、微笑む母親。
「……?」
何となく。
違和感を感じた。
「…母さん、だよな?」
『えぇ。何言ってるの?見たらわかるでしょう。』
変な子ね、と笑う。


