「やったわ!」
球体は真っ二つに割けて離れた。
「…いや…無理だ」
そう言ったアレンは立ち止まってレイを下ろした。
そうしている内に球体はくっついていく。
「何か、あれに対抗できる精霊ないのか?」
レイを横目で見て言う。
「…やってみるわ」
呟いたレイは両腕を前に突き出す。
手で印を組み、目を閉じて力を集中させる。
「《盾の力を持つ精神の精霊よ、我が力に従い結界を張れん》」
手のひらをパッと開いた。
「《精神の精モレンよ、降臨せよ!》」
一瞬カッと黄緑の光が走った。
「モレン、結界をお願い!」
レイの足元に降り立ったモルモットの精霊は、頷くと立ち上がる。
球体が何かに阻まれ、動きを止めた。
「やったな、レイ」
優しく微笑むアレン。
が、すぐに真顔に戻る。
「あんまり結界張っててもレイが疲れるし、何とかしないとな」
球体をジッと見つめる。
「…誰だ、仕向けてんのは」
辺りを見回すが、レイ以外誰もいない。
と、その時、いきなり球体に籠る力が強まった。
まさかそんなことが起きるとは思っていなかったレイとモレンは、結界を破られてしまった。
「!!!!」
慌てて結界を張り直す。
が、遅かった。
「…!!やばっ…」
そう言うやいなや、アレンはレイをおもいっきり突き飛ばした。
「きゃあっ……、アレン!!!!」
離れたところに倒れ込んだレイはすぐに上半身を上げて、真っ青になって叫ぶ。
レイを庇って、アレンは球体に飲み込まれてしまった。


