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商店街で買い物をして、宿を出て二時間くらい経った。

周りの景色は徐々に砂へと変わっていく。

アレン達は国の極東にあるトウキシティを目指していたが、まずは手前のサリアンシティに寄ることにしていた。

「それにしても、まさかたったの200000¢だとは…」

ギルクが言う。

20万¢の有り金で三人で旅していけるほど、世界は甘くない。

「ゴーンは頭悪いから何が高価なのかもわからずに手当たり次第に人から物を盗ってたんだろうな」

「また何か探さなきゃ…。それか、働くとか?」

イルが目を輝かせて言う。

どうやら、今までになかったこの状況を、楽しんでいるようだ。

「…働くとか、無理。だるいから。」

アレンが拒否する。

「…アレンって結構めんどくさがりよね」

イルはこの数時間でアレンのめんどくさがりな性格を見抜いた。

「無意味なことはしない、それが俺のポリシーだから」

訳のわからないことを言い出すアレン。

少し天然も入っているようだ。

「はぁ、喉乾いた。」

ギルクが水筒を出し水を飲む。

すると、にゅっとイルの手が伸びてきて、ギルクの水筒を奪った。

そのまま水を飲むイル。

「てめッ!!それ俺のだろーが!!」

ギルクが怒る。

「いーじゃぁん、出すのめんどくさかったし。間接キッスよ、喜んで☆」

ウインクしながら言うイル。

かなり可愛くしてお色気作戦でいくつもりだったが、ギルクには効かなかった。

「だまれやあぁぁッ!!お前みたいな幼児体型女の間接キッスなんかいらんわぁぁ!!」

彼女に向かってとんでもないことを言ったギルク。

「な・ん・で・す・って~?!誰が幼児体型よっ!!」

イルも目を吊り上げて怒った。

それからしばらく二人は、アレン曰(いわ)く“無意味なこと”を続けていた…。