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「だっさんと負っけ~よ、ホイッ!!!!」


イルの甲高い声と共に四人は一斉に手を出した。



「うがあぁあぁ嫌だあぁぁ!」


負けたギルクは周りの人が何事かと振り返るくらい大きな声で嘆いた。



「やったあぁあ、勝ち♪」

「あら」

「……………。」

勝利を掴んだ三人は各々感想(?)を述べると、ギルクに荷物を差し出す。


「まぁ~た荷物持ちかよぉ…。しかもイルの重い…。」

さっき行っていた買い物でも荷物持ちをさせられていたギルク。

アレンは少し可哀想に思うが、自分が荷物を少し持とうなどということは一切考えなかった。

「…筋トレって思っとけば」

「イル、倉庫に預けなかったの?」

レイはイルを見て首をかしげた。

「必要なものだけよぉ」

「…お菓子の匂いがプンプンするなぁ、イルちゃん~」

イルは彼氏のその言葉に無視を決め込んだ。




今四人が騒ぎながら歩いているのは、カルアシティの北の通り。

これから街を出て、商業が盛んな小さな村へ向かうのだ。


アレンの知り合いがたまに手を振ってきたり、久しぶり、と声を掛けてきたりする。

本人は曖昧に笑ってただ手を振り返すだけだったが。

「あ~、アレンじゃねぇか!そこの金髪の女の子、可愛いな!」

ヤンキーっぽい奴までもが話しかけてくる。

「ん、だろ」

アレンは適当に答えたのだが、レイは顔を真っ赤にして照れた。




「レイっていちいち可愛いなぁ~」

「えっ?」

イルの言葉がよく聞こえなかったレイはまだ僅かに頬を染めながら振り返る。


「何でもない、あはは☆」

レイは首をかしげた。