吹っ飛ばされて倒れていたクロムが立ち上がった。

頭から血を流している。

「…魔力…か?」


アレンは自分の周りに金色の光をパチパチ弾かせながら、クロムを見た。

「…さぁ。そうなんじゃないか?」

曖昧に答えたアレンに、クロムは苛ついた。

「何の力だ?金色の光なんて見たことないよ」

「…知らない。」

クロムはアレンの言葉に驚き、笑った。

「自分の力が何なのかもわからないのに、使いこなせるのかい」



「…試すか?」



そう言ったアレンは持ち前のあの速さでクロムの目の前に一瞬で移動する。

その一瞬の間に魔法を発動させた。


「………!!」

クロムは胸部に衝撃を感じた。

また吹っ飛ばされるが、辛うじて立ったまま足を地面に擦らせて止まった。


「ゲホッ…」

血を吐く。

「くそ…、何だよあの力は…。」

忌々しげに呟いたクロムは動こうとした。


が、金縛りにあったかのように体が動かない。


「…また…いつのまに」



動けないクロムを一瞥すると、アレンはレイ達の元に歩いて行った。


「アレン」

レイが見上げて何か言いたげな顔をした。

「…イルはどう」

「あたしの力ではこれが精一杯よ…。」

イルの腹部の傷は、血は止まり深かったものが浅いものになっていたが、まだ痛々しく残っている。


「…同時にはまだ無理だな」

アレンはそう言うとクロムの金縛りを解いた。


瞬間的に、クロムは赤い目を光らせ襲いかかってくる。


剣でそれを受け止めたアレンは再びレイ達から離れた。