アレンが自らの首筋に手を当てたのを見て、クロムは突っ込みながらも不思議に思った。


(何だ?あの動き…。)


だが相手は今目を閉じている。

倒すなら今だ。


「………死ね!」

そう言ったクロムはアレンの心臓に向かって剣を突き出した。



その時、アレンが小さく何かを囁いた。


「………?!」

その足元に巨大な魔方陣が現れた。

その魔方陣は存在だけで威圧感と風を巻き起こす。


クロムは魔方陣の力に吹っ飛ばされた。





「何あれ…」

レイは風を受けて髪を靡かせながら唖然としていた。

アレンの足元に突如現れた魔方陣は、まだ魔法を発動していないのにあり得ないくらい強大な力を発している。

しかも、レイの知らない光の色をしていた。


「金色の魔力なんて見たことも聞いたこともないわ…」


それを聞いても魔力に詳しくないギルクはただビックリしているだけだった。





アレンは慣れない感覚に目を瞑ったまま少し顔をしかめた。

クロムが吹っ飛ばされたのを感じる。



しばらくして、アレンはゆっくりと目を開いた。



すると、魔方陣はフッと消えてしまった。



「あり?魔法、発動してないんじゃねぇの?」

ギルクは不思議そうに自分がわかる精一杯のことを聞いた。

「わからないわ。でも…、アレン、凄い魔力よ…。」

“魔”の力で相手の魔力を視ることのできる魔法使いでなくとも、魔力透視の魔法を使わなくても、わかる。


あの黄金に輝く力は、もの凄く強いもの。