ギルクが斬られる。
そう確信したレイは目を手で覆っていた。
ポタリ、ポタリ。
血の滴る音がする。
「……………。」
レイは手をゆっくりと下ろした。
「…………?!」
そして次の瞬間、驚きの声をあげた。
斬られたのはギルクではなかった。
「………イル?!」
イルが腹部の上辺りを横に斬られている。
「え?」
レイの声を聞いたギルクも目を開く。
「…………イル?」
イルが崩れ落ちた。
真っ白な床が真っ赤に染まっていく。
「……何で…?イル、おい!!」
慌ててイルの上半身を抱き起こす。
イルは痛みのせいだろうか、気を失っている。
このままでは血が止まらず、ショック状態になってしまう。
「……レイ!!止血…」
ギルクが言い終わらない内にレイは癒しの精霊を呼び出していた。
精霊を張り付け、イルの負傷したところに手を翳す。
レイの手が水色の光に包まれた。
とりあえず血が止まったのを確認したレイは、傷を癒しながらアレンを見た。
「…アレン」
こんなに隙だらけなのに攻めて来ない。
心なしか剣を持つ右手が震えていた。
「…戦ってるの?」
妖術と、自身の体の中で…?
アレンの碧の瞳が揺れた。
「………ぅ…」
「やばっ、妖術解ける!」
アレンの様子を見てそれに気付いたビーンはその目の前に移動した。
「アレン=ブロドニス、駄目よ。まだ死んでないじゃない。」
その目を睨んだ。
途端にアレンはまた正気ではない目になる。


