壁、床、天井。
全てが真っ白なその場所にアレンはいた。
その広間のような円形の場所の真ん中にある、やはり白い円形の台座。
その円の中央にある、7色に光る虹色の岩をじっと見つめる。
そして、その真ん丸でツルツルした表面を撫でた。
「…何も…変わってない…。」
あんなことがあったのに。
変わったのは、この岩だけだ。
窓の外を見ると、今はちょうど夕日が綺麗な頃。
(…レイが丘の上から見たかった夕日をここで見るなんてな)
ぼんやりとそんなことを考えた。
「…アレン」
一人だったのに、急に声が聞こえた。
綺麗な、澄んだ声。
振り返ったアレンは少し驚いた。
「…レイ」
その後ろからは、ギルクが来る。
灯台の長い螺旋階段をイルを背負って登ったようだ。
「アレン、…ここって?」
軽く息切れしながらギルクは聞いた。
「…南の塔」
静かに答えたアレンは再び窓の外を見た。
下ろされたイルはアレンをじっと見る。
その瞳に、微かだがいつもはない哀しみが宿っている。
(…親の墓、ってあの怖いオジサンは言ってたわよね…?)
頭の中で考える。
あれから、アレンはすぐにここに来た。
この灯台が関係しているのは間違いなさそうだ。
「…アレン」
レイが窓に肘をついたアレンの横に立つ。
「……何」
「夕日、綺麗ね」
いきなりそんなことを言い出したレイに、アレンは一瞬ビックリした。
が、頷いて。
「うん…綺麗、だ」
そう言うと俯いた。