「南の塔の守人…、だっけ」

ギルクがこそっとレイに聞いた。

「ユナルとエニスはそう言ってたわね。」

レイもこそっと返した。

イルはギルクの背中に隠れている。

どうやらルナスが怖いようだ。



「てめぇ…だと?」

ルナスの顔から笑みが消えた。

「…アレン、調子にのるんじゃない。あの墓を壊すことだって私にはできるんだぞ」

「…壊してみれば?一生無理だから。」

アレンはそう言うと逸らしていた目を真っ直ぐにルナスに向けた。



それは、レイがアレンとゴア峡谷で二人のときに見た彼の目と似たもの。


冷たい、恐ろしい迫力のある目。



「…親の墓を壊してみろだと…?」

ルナスはその目を睨み返した。


「…我々への8年間の礼がそれか。いつものにこにこ笑顔はどうした?」

ルナスはアレンには劣るが冷たい目でそう言った。

「礼なんてないね。恨みだらけだ。それに、お前らに笑顔何か見せた覚えはない。」

ルナスがぴくっと動いた。

「あの綺麗な笑みは偽物だったってわけだな」

「そうだな。頭の中は恨みだらけだったよ」

アレンが笑いながらそう返すと。



「…母親に似て忌々しい…。」




ルナスはそう言ってからボディーガードに何か指示を出した。


すぐに動いたボディーガードは、アレンではなくレイとギルクとイル、更にはメディンまでもを捕らえる。



「…仲間に辛い思いをさせたくないのなら、言うことを聞け」



それを見たアレンは目を見開く。

そして。


凍ったような鋭い瞳を、ルナスに向けた。


「………?!」


街長とボディーガードは驚きの声を上げた。


レイ達も、驚く。




急に空気が冷たくなったからだ。