メディンは最上階に一つだけある扉をノックした。



コンコン☆


「…誰だ。」

中から男の声がする。


「メディンとその連れですわい」

「あぁ、入れ。」


アレン達を自分の連れに仕立て上げたメディンは扉を開いた。


広い室内が露になる。


「ようこそ、メディン、とその連れ様たち」

海が見えるガラス張りの足元から天井までの大きな窓を背景に、机に肘をついて紙を片手に持つ藍色の目の男がそう言った。

黒い髪が目によく似合っている。


机の周りには強そうなボディーガードが数人いた。


「依頼された物を持ってきたぞい、ルナス街長よ」

扉の向こうからやって来ないレイ達を室内に誘いながら、メディンはそう言うと鞄を探った。


レイとイルとギルクはおずおずと中に入る。

ルナスと呼ばれた男は三人を見ると微笑んだ。

(…ユナルに伝言を言った人かしら)

アレンに、戻って来いと。


そのアレンは部屋から見えない場所でむすっとしている。


さすがにこれは呼べない。



「おや、アレンはどうしたのじゃ?」

そんなこと全く知らないメディンは、無神経にそう言ってしまった。


「…アレン、ですと?」

ルナスの片眉がぴくっと上がった。

「メディン、それはあなたの連れか?」

「アレンはもうわしの孫のようなもんじゃ」

優しく微笑むメディンだが、レイ達は笑えなかった。





ルナスの目付きが、一瞬とても恐ろしいものになったのだから。