「顔も覚えてないんだけど、再会した私達を見てすごく優しく笑ってた気がするの。」
そう言ったレイは一人で墓地に入っていった。
アレンは無言でそれを見つめる。
「…あら?」
レイは足を止めた。
目の前には、空いている土地。
「41…、43…?」
勇者の墓に刻まれた番号を読み返しながら、レイは首をかしげた。
「42代目のは…?」
「…ない」
アレンの言葉にレイは目を見開いた。
「…じゃあまだ生きてるの?!」
「それはないのう」
アレンとは違う別の声がした。
振り返る先にいたのは、小柄な老人。
「…メディンさん」
アレンを見たメディンは優しく微笑んだ。
その顔はリディンそっくり。
「アレン、可愛いがーるふれんどじゃのう。」
ガールフレンドを“がーるふれんど”と言った老人メディンは、レイを見ながらアレンに話しかける。
レイが若干照れて赤くなっているのに気付かない鈍いアレンは、
「旅の仲間のレイです」
と、彼女に軽くショックを与える言葉を放った。
「アレンも相当鈍いのう」
不思議そうな顔をしたアレンは「…も?それに鈍いて…」と首をかしげる。
「いや、何でもないんじゃ。レイとやら、42代目にこだわっておるが…、面識があるのか?」
メディンは拗ねた様子のレイに訊ねた。
「あれ?拗ねてんの?何で?」とか言う鈍感アレンはほっとこうと思ったらしい。
「あ、ハイ。」
いきなり話しかけられたレイは咄嗟に顔を戻しながら答える。


