「お前…国中の人間がやろうとしても誰もできなかったことを、お前ならできるって言われてるんだぞ?!」
「そうよ、国を救えるのよ!」
ギルクとイルが二人して騒ぐ。
「…何から」
「え?」
「何から国を救えるんだ?」
アレンの質問にイルは首をかしげた。
「何って…魔王の支配からよ」
「魔王って何か悪いことしたのか?」
「国を支配した。」
ギルクが答えた。
「…それって勇者と同じなんじゃねぇの?」
アレンは不思議そうに言った。
その三人の会話を聞いていたリディンはジッと少年を見る。
(なかなか面白い子じゃのう。
しかし…、
アレを知らんのか……。
アレがアレン自身にしたことを…。)
「アレンの思うように、自由にしたらいいんじゃないかしら」
不意にレイが口を開いた。