立派なレンガ造りの家の扉が開いた。


「お邪魔します。」


声を揃えて家の中に入る。


「こっちにおいで」

声が奥からした。

四人はそこに向かって歩く。



すると、急に後ろから気配がした。



「!」


後ろの膝元に飛んできた何かをアレンは間一髪のところでかわす。



「きゃ」
「うゎ」

イルとギルクはそれに引っ掛かったようだ。

膝カックンされ、後ろに倒れ込んだ。


「もう、リディンさんったら。相変わらずいたずら好きですね。」

予想していたのか端に避難していたレイが、呆れたように視線を移す。

その先に、女の人がいた。


50代くらいの、小麦色の髪に紫の瞳をした老婆。

イルくらいの小さめの身長だ。


「ほっほっほ。アレン君は素早いのう。とても調子が悪いとは思えん。」

リディンは愉快そうに笑った。

「…もう平気なんで」

そう答えたアレンに、

「私の前で嘘をついても無駄じゃよ。占星術師をなめるでない。」

笑いながらもリディンは言う。

アレンは笑顔が誰かに似ている気がした。


「………………。」

とりあえず機嫌を損ねて黙り込む。


「なんでアレンの名前知ってるの?」

イルが不思議そうに訊いた。

リディンは優しく笑うとその疑問に答える。


「さっきの会話で言ってたのでな。あと、ある人に聞いたのじゃ。」

「…ある人…?」


「メディンじゃよ。」


それを聞いて、アレン以外の三人はきょとんとしていた。