「…ん…収まった?」
レイの声。
「みたいね…」
イルの声。
「大丈夫かい?」
ロンの声。
「私は大丈夫よ」
「あたしも…」
……………………………。
「アレン?」「ギルク?」
レイとイルが同時に二人の名前を呼んだ。
返事はない。
代わりに、小さな子供が側に倒れていた。
「………………。」
レイは目をごしごし擦る。
そのあとそっとまた目を開いた。
「…………………。」
目の前で倒れている子供。
灰色か黒色かわからない曖昧な髪の色をしている。
服は黒のジャケットにブラウンのズボン。
「……アレン…?」
その子はまるでアレンのような格好だった。
そしてその子供はまぎれもなくアレンなのである。
「えっ…、あ、アレン?何でこんなにちっちゃく…?」
見た目だと7歳か8歳くらいの小さな男の子だ。
レイは訳がわからずただ焦る。
「…俺とレイを庇ったのか…。」
そのロンの言葉を聞いて、レイは青ざめた。
「アレン、起きて…!!起きてってば…」
「…んう…」
可愛らしい小さな声。
声変わりする前だ。
普段のアレンの声もそこまで低くなかったが、この声は明らかに子供。
子供アレンは目を開けた。
「…………………。」
沈黙。
「…お姉さん、誰?」
アレンの言葉に凍りついたレイの肩に、ロンが手を置く。
「フィグレの光を浴びるとその者の時間だけ過去に戻ってしまうんだよ。フィグレは光を出してる間に逃げる。
たぶん一時間もすれば戻るはずだ…」
そう話すロンの後ろで、ギルクも子供になっていた。
昔からイルを知っていたのか、「イル?何で俺よりおっきいんだぁー?」と首をかしげている。
「…おれ、こんなところいたっけ。来たこと、ない。」
アレンは周りをキョロキョロ見回した。


