「桜って絶対彼氏いるでしょ!」

こんな話題は、もう何度通ってきたかわからない。
いつも答えは決まっているのに、友達は期待をこめて私を見つめる。

「あのね、申し訳ないけど…いません」
「本当に?」
「本当に」
「できたりしてない?」
「…雪、私さ、同じ質問を三日前にもされたわけだけど…三日で彼氏ができると?」

柳谷雪はつまんないの、と頬を膨らませた。

仕方ないじゃない、いないもの。これからもできないわよ、彼氏なんて。

だって…私には旦那がいるんだから。