魔法のキス

しばらくそういう状態がつづき、
そろそろ戻らなきゃと思ったときだった。



「なにしてんの?」



声がした方を振り向くと、



そこには、さっきどこかへ行った彼がたっていた。



「……それ、あんたの猫?」



「え、ち、違うよ。さっき見つけたの。
野良猫かな?」



「へぇ。」



彼は私のすぐ前に立って、
私が抱いている猫を撫でた。



「かわいいじゃん。」と彼は言った。



すごく意外な感じがした。



さっきはつんつんしてて、動物なんて
好きじゃなさそうだったのに。



私のことうざいって言ったし………。



でも嬉しくて、笑顔がこぼれてしまった。



「でしょ♪」



そういうと彼はじっと私を見つめて
すぐにそらしてしまった。



どうしよう…………………。



あと1秒見つめられてたら
吸い込まれてしまうとこだった………。



「あんた、名前は?」



「私?私は中川みえ。」



「ふーん、中川か。オレ森口かなた。
朝いなかったから分かんなかっただろ?」



げっ、ばれてた…


「え、あ、うん………遅刻してしまって……。
私、最近妙に寝つきが良すぎて…」



「いいことじゃないか。」



私たちはくすくす笑い合って、
しばらく話をしていた。